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 三重県北部 カシノナガキクイムシ被害調査

 ■ 10月16日 三重県北部のカシノナガキクイムシの被害調査
 通称 ’カシナガ’ と呼ばれる虫がいる。 この虫の正体は ナラ類に悪さをする菌をばら撒く 悪い奴です。
 
(本当に悪いかどうかは 別として 少なくとも ナラ類を枯らしてしまうという事だけを指して)
 ’ナラ枯れ’ と呼ばれ 特定樹木を枯死させてしまう やっかいな菌をばら撒き次ぎから次ぎへと伝染病のように
 広がっていきます。
 1990年頃東北、北陸を最初に発生したとされ まだまだ新しい病気です。 実は 今まで発生が少なかった理由は
 人間の生活史とも大きくかかわりをもっていて 俗に言う 里山(人間が作った2次林)が 1950年頃の燃料革命に
 より荒廃していったと言う 背景も大きく関与している。
 つまり カシナガ被害による ’ナラ枯れ’とは ’人為的な病気’ と言えるのかも知れない。
 
 さて東海地方では岐阜での被害が最初に起こった。それが2006年愛知県にて このカシナガ被害による ’ナラ枯れ’が報告され あれだこれだ と防除対応してきたが・・・・  あれから まる3年・・・。 とうとう被害が三重県
 まで迫ってきた。 三重県では 2007年に桑名での被害報告。 そして今年2008年には 北勢町で被害報告があった。 今回 その北勢町での被害調査があると言うことで 同行させて頂いた。




←こいつが’カシノナガキクイムシ’です。
 ■ カシナガって どんな奴?
カシナガについて簡単に説明。 カシナガは 生きた樹に 直径1m程度の小さな穴を開けて穿孔する。 そして
オスメスが1つの家族を形成して産卵をする。 カシナガは 一夫多妻制ではなく 生涯を一人の妻で まっとうする
らしい。 なかなか男らしいではないか。
冗談はさせておき この時に自分たち 及び 生まれてくる子どもの為に メスは穿孔した樹の坑道に背中に
引っ付けてきた 菌をつけ繁殖させ (簡単に言うとカビ) それを餌にするという習性がある。
この菌(カビ)がまた やっかいで ナラ類はこの カビに対して 必要以上に反応し 最終的には
自分で 水を吸い上げる事を辞めてしまうのです。 そうなると・・・ 当然 樹は水不足になって 急激に枯れてしまいます。  相手が 樹の中に居るだけに やっかいだ。

 ■ 三重県北部の被害調査
カシナガの被害にあうとまず
左の写真のように幹に多数の
穴が開き
(ひとつひとつが穿孔の痕)
そこからフラス(木屑)がたくさん
でる。 この状態であれば
誰がみても直ぐに被害を受けた
樹を発見する事は簡単。

  
こちらは根元付近の様子
フラス(木屑)がたくさんたまっている事がわかる。
サンプル収集の為 

被害木を切り倒す。

ばっさり切ってん見たら カシナガが出てきた。

※赤丸中央。 判りにくいかなぁ・・・・


さらに これは成虫(幼虫も) が材の中で堀った穴(坑道)です。このような感じの穴を 5〜6階の層で堀る。 5階建てビル暮らしのような感じと思ってもらえば判り易いか??
 ■ 被害木は・・・・・
もちろんですが 調査と言えど被害木をそのまま放置する事はできません。
根元は薬剤処理をし・・・・ 材の大半は 運び出しをした。

薬剤による処理
被害木の搬出。


ん・・・・まるで ’カチカチ山のタヌキさん’ だ。(笑)
結構大変なのよ。 (>_<)


 ■ 三重の被害の現状
三重県内で報告されている被害(日本海型)は   2007年桑名市のゴルフ場 そして2008年のこの北勢町の
2件のみ。 桑名に関しては昨年のうちに 地元の樹木医が対応し 駆除してる。 この北勢町も来年の羽化脱出
までに 早急な対応が必要です。
三重の被害は初期段階と言えるのだろうが 人里など目に付くところでこれだけ被害が出たという事は
山奥では 相当広がっているに違いない。 また 山に登って調査してみたいと思う。




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