個人邸の庭  ’モチノキ’
 ■ 3月16日 モチノキ・・・元気が無いみたいなの。 診て!
 今回は個人さんからの依頼で ’モチノキ’が元気が無いの診て欲しいという事だった。 まずは 現状の確認です。

樹高:3.0m とそんなに大きな樹ではなかった。
ただ これは もともと 2本立ちであったようだが それぞれの
主幹が 両方とも朽ち果て その脇芽がそれぞれ
双幹木のように 成長し 独立したような状態で
全体の樹形を形成している。
また それぞれ 主幹のあった位置には
水が溜まる 大きな穴が開いてる状態であった。
  
それぞれが2本立ちのような樹形となり 主幹が無くなった後は 腐朽がすすみ 水が溜まっている。
さらに その水は腐敗し ・・・ 悪臭を放っていた。

そして写真には無いが 初めて私が 現場を訪問した際には 雨水の浸入を阻止する目的が ビニールが巻きつけてあった。
その行為は 意味が無いもの・・・・と 説明し すぐさま取り外した。 その状態が 上の写真です。

 ■ 聞き取り調査。
1. 20年前に現在の位置に植栽した。
2. その時は 2本立であったが 主幹が朽ち果て 脇芽が成長し 現在に至った。
3. 平成21年2月 造園業者が かなり強い剪定をした。 それ以降 一度もハサミを入れていない。 
昨年の2月以降 ハサミをいれていない。 
それでこの葉の量? 芽の伸び??
モチノキだから この時期葉を振るうのは当たり前だが 
それにしても少ない・・・・。
 
 ■ ウロの内部はどうなってる?
 まぁ 目だっているのは 腐朽して穴があき 水が溜まっている部分。 その上部には 黒アリ、シロアリ、その他 多数の虫が生息していた。

 黒アリ君は悪さをしないだろうが シロアリ君はちょっと・・・・  さらには 水の溜まった悪臭放つ部位からは なにやら ウジムシのような奴が・・・・


触った感触は ぶよぶよでまるでウジムシ。  腐った材の中(写真右下)からたくさん出てきた。 
後日 友人の樹木医さんに鑑定依頼をしたところ 
ガガンボか何か双翅目の幼虫では? との回答だった。
しかし 特徴的な顔してますねぇ。 (;一_一)

この他 ミミズだのなんだの 非衛生的場所にたくさん居るような 害虫がわんさと出てきました。


 ■ クライアントに現状を説明し どうするか? 方針を決める!
クライアントに現状を説明した。 真っ先に決めた事が 『樹木医のOKが出るまで剪定禁止!』  ・・・・・ この方法ならクライアントに金銭的負担を
軽減できます。 だって何もせず ただ様子を見るだけですから。 でも それが重要!と私は考えています。 つまり原因がはっきりしても居ないのに
下手に触るのは 良いわけが無い! 時間をかけて弱った物か? それとも昨年の 強剪定が影響しているのか? 
時間がかかる相手をしているのだから ゆっくりやりましょ! (^^)

でも この悪臭は 個人邸ではさすがに困るでしょうね。 水が溜まるのは 防御層がしっかり出来ている証拠ではあるが でもこのままでは
夏には ボウフラ君たちの 遊び場になってしまうでしょう。 
で まずは消毒を提案し この穴をふさぐ方向で話を進めた。  そして 見た目も良くする意味で 少々の外科術を施す事にした。
もちろん 樹勢回復には あまり関係ないと ちゃんと説明はした。
 
 
 ■ 消毒とウロへの詰め物・・・・と 薬剤塗布。
不要部位を削り取り 薬剤を塗布。

薬剤は市販品に ちょっとした

丸秘? を混ぜてある。

・・・まぁ 眉唾もんですがね。(笑)
不要材切除 腐朽防止材塗布

 そして 水溜り部位には ピートモスを詰めた。

 ピートモスと言ってもそれを単体で使っているわけではない。 表面が乾けば ある程度硬化するようになっている。
この術式の利点は いつでもやり直しが簡単に出来る事。 まぁ 子供が悪戯をすれば 取れちゃう可能性はあるけどね。  (;一_一)

これで ひとまずの作業を終了とし あとは節目毎に 巡回にくるだけ。 また しばらくお付き合いを頂く樹が増えた・・・・・
樹と言うよりは この T家の老夫婦とのお付き合いの始まりだとも言える。 樹を守るとは その家族の方々との信頼関係を築く事も重要であると思う。

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