長期出張 『樹木医編』 4月13日〜21日
今回のお話は、ちょっと長くなると思います。興味のある部分だけ読んで頂けたらよいかな!? と思います。
■4月13日 栃木県入り
13日、明日から研修に備えて栃木県入りする。 栃木県在住の樹木医(A氏)のお宅に泊めてもらう予定なり。
今回は、初めて新幹線を使用した。 いつもなら必ず車なのですが・・・今回は、福島での研修の後も予定が入っているので、三重県には戻らず、そのままの足で出向く為です。 車では行ける移動できる距離ではなかったので。 ・・・行き先は後程。

 到着後、栃木県の夜を堪能。
 A氏の奥様も一緒にすき焼き。
 
 (^^♪
 

そうそう、栃木県まで来た理由のひとつ。 古いお墓にある巨樹の写真を集めている。 
巨樹と古いお墓の関係ってわかりますか?  
昔は土葬だったので・・・人が樹木の肥料になって大きくなった・・・・って事は無いのか、あるのか・・・ここではコメントは避けよう・・・・。(^_^;)
           平成21年12月撮影     ← 同じ樹です。(撮影方向は違います) →    平成24年4月撮影

■4月14日15日  福島入り
この研修会場(福島県)に来るのは、もう3回目だろうか。 ここでの研修は、簡単に言うと、『不定根』と呼ばれる根を樹木の幹から発生させ、それを上手く使って樹勢を回復させたり、開口部がある場合はそれを閉塞させる・・・という技術を習得する事にあります。
この集まりは、’藪会’と呼ばれ、HPもある。 この藪会の良い所は、一回の研修ではなく、2年毎の多年経過を行っている所にある。
つまり、ボクはこの圃場での初めての参加が4年前で、今回が3回目という事になる。 
同じ樹を何年も診れば誰にでも変化は判る。 良くなったか悪くなったは別として。

 これは杉です。
 写真が小さくわかり難いが、地上高2.5m位の位置から根が発生し、
 地面に到達しています。
クロクサアリ 
2年前に施術した被覆をはがす。(写真左) すると、なにやら縞模様ができている。 この縞模様は実は蟻の巣です。
クロアリが巣を作っているのです。  クロアリは蟻酸(ギサン)と呼ばれる液体を体内から出す。 その蟻酸がどのように影響しているのかは、判らないが、この写真のようにクロアリが巣を作った場合は、樹木の腐朽(くさること)が止まっているように思える。
蟻酸(ギサン)と腐朽菌(フキュウキン)の関係については、正直良く判らないがこの両者が何かしらの関係にあることは間違いないとおもっている。 酸性度(pH)も影響しているかも。
中には 
『蟻が腐朽菌を食べている!』 なんていう人も居るけど、それは無いだろう。・・・・と思う。
この施術法は自分の実践の中にも取り入れています。 ちなみにこのクロアリを持ち帰り調べた結果、『クロクサアリ』と判明。

え・・・以上、は今回の研修の良いところ。 しかし実際は、初日は大雨で寒さに・・・・負けた。 新幹線で来ているので荷物は最小限。
雨さえ降らなければ、耐えられた寒さだったが・・・・初日は動けなかった。(^_^;)  ソメイヨシノも開花前でした。 

やはり東北は寒かった。 (/_;)

 ■4月16日 羽田空港
羽田空港へやってきました。 先にも書いたとおり栃木への移動を、車を使わず新幹線を使ったのはこの為です。
16日より屋久島で、ある作業が行われるのですが、その作業に参加させて頂くチャンスを得たからです。
屋久島と言えば 『縄文杉』があまりに有名。 縄文杉にも逢いたかったし。 
『こんなチャンスは、行くしかないだろう!』 と、多少強行な日程ではあったが屋久島へ飛ぶ事にしました。
前日のうちに横須賀まで移動し、始発の電車で羽田空港へ向かう。
横須賀在住の同期樹木医と旅行気分で参加。
二入とも飛行機なんて数えるほどしか乗った事がない。
悠長に麦酒飲みながら朝飯を食べて居たら・・・・

なんとアナウンスが。

『ソラシドエアー○○便のイシグロ様〜イシグロヒデアキ様〜 搭乗時間が過ぎております。 至急、○○ゲートまでお越し下さい。』

いや、恥ずかしい。 (^_^;)

ソラシドエアーさん、ごめんなさい。

 ■4月16日 鹿児島立ち寄り
無事、鹿児島空港に到着。 ・・・しかし、飛行機という乗り物は本当に推進力による揚力で飛んでいるのだろうか? 鳥さんのように羽をばたつかせて飛んでいるようだったぞ! はっきり言って飛行機は怖い。(/_;)

さて、鹿児島といえば行きたい所がある。 
『蒲生(かもう)のオオクス』  日本でもっとも太い樹木です。
 蒲生八幡神社 

 ここに日本で一番太い樹木がある。
 
 
ちなみに一番背が高いのは、秋田県にある
 『きみまち杉』 です。 (樹高58m)
蒲生のオオクス。 樹高30m 目通り24m
この樹も見たいリストの一つでした。 これで自分のリストから一つ名前が消えました。
ちなみに裏手には、出入口(!?)があり、内部には8畳ほどの空洞が広がっているそうです。
 なにやら扉が付いています。
 すごい細工ですね。

移動。 屋久島へは船で渡る予定をしています。 港まで移動です。 近所のおばちゃんに尋ねたところ、バスを使うと良いそうです。

鹿児島県民のおばちゃんは親切でした!
近くの小学校のグランドにも一際大きな樹木が。
勝手に入るわけにも行かないので、望遠にて撮影。 一体なんの樹だろうか?

 ■4月16日夕方
屋久島到着! 初めての屋久島! うれしくてウキウキ気分です!! 早速、宿泊先付近の散歩をしました。 
いろいろ発見!
ヤクスギを発見。 結構あちこちで見られました。
年輪幅が結構狭い。
しかし、のちに解った事ですが、縄文杉など高地の杉
はもっと狭い。
 神社を発見。
 何かあるだろう・・・。
 いきなり不明樹種。
 なんだこれ?
 ヤクタネゴヨウ
 屋久島と種子島の頭の文字から命名された。
 その名前のとおり屋久島と種子島にしか無い。
 屋久島に1500本程度、種子島には100本程度しか
 残っていないという。
 絶滅危惧種に指定されている。
 ノボタンの強烈な色合いが目を引いた。
 コケの塀。 ここまでキレイならOKでしょう。

 年間雨量の多さを物語っている。
 ニオイバンマツリ

 宿泊先の旅館からの風景。
 到着後、天気が回復。
 この後の2日間、好天に恵まれた。

 なんとラッキーな。

 年間降雨量が、日本の平均(1700o)の五倍以上あるとか。


 ■4月17日紀元杉
本日は作業の予定です。 作業って? そう、今回の屋久島へ来た目的はあくまで作業なんです。 何の作業かって? 当然ですよね。
実は、杉の枯れ枝等の除去により、観光客の安全を確保する為の剪定作業です。 その作業に同行させて頂いたということなのです。
実際の作業にあたるのは、同期の樹木医他。 彼らは ’永平寺’の杉にも登るエキスパート集団です。
紀元杉を登る同期の樹木医。

見ててかっこよかったですよ。
 遠景に見ると人がこんなに小さい。
 今から降ろす枯れ枝は、主幹の頂点の
 左側にかろうじて繋がっているように見える旗の
 ような部分です。       
作業中は立ち入り禁止。
一般の方、ごめんね。(^_^;)     

危険枝剪定作業 
危険な枝を外します。  
地上に降ろすと、約160cm、80kgもあった。
下から見ると、小さく見えたのだけど。

 ■4月18日縄文杉トライ。
屋久島まで来たからには、やはり縄文杉は見なきゃいけないでしょう! そういう事で、出発!
午前3時半起床。 4時出発のバスに乗り、荒川登山道へ行く。 登山道へは、5時半頃到着。 まだ真っ暗だったので明るくなるのを待って午前6時出発!
スタートから8.1kmは延々トロッコ道を歩きます。
これが見た目よりは、結構歩き難い。
大まかな工程。

植物鑑賞をしながら。

’ナナカマド’
屋久島の固有種

’ヤクシマオナガカエデ’
えっと・・・・ナントカストーン。
’三代杉’

単純に三代目の杉と言う事です。
最初の杉が枯れ、その上に別の杉が生え
さらに枯れて、また次の杉がその上に生えた・・

という事。

ここで5.4km


 途中、’ヤクシカ’にも出会う。
大株歩道入り口到着。
ここでトロッコ道は終わり。 ここから一気に急な
登りになります。
縄文杉まで、あと2.5km。

もうちょっと・・・距離はね。
こんな雰囲気のところを歩きます。

あー!気分いい!
翁杉到着。
ウイルソン株到着。
ウイルソン株から上空を見上げる。

ある角度から見ると、こんなハート型に見える。
ウイルソン株から見上げる木漏れ日。
’ヤマグルマ’のトンネルを抜けて・・・
 相棒と歩く。
大王杉到着。
 夫婦杉到着。
2本の杉の枝が引っ付いてます。
連理の枝なり。

左の樹の枝が右に引っ付いている。

そして、縄文杉到着!
’縄文杉’


撮影:石黒秀明
帰りはトコッロに出会った。
こんな樹種があるそうです。
下山後、屋久島自然館に立ち寄る。

屋久島って火山によるものでなく、
隆起によるものだったのね。

島が丸いから、火山かと思い込んでいた。
 ■4月19日 屋久島一周。
 屋久島4日目。 今日は屋久島を一周しよう。 
 島を反時計回りに走る。 しばらく走ると砂浜が。
 ウミガメの産卵場所らしい。
 
さて、知らない樹木見学です。

’フカノキ’
’タイミンタチバナ’
’クロバイ’
’クロキ’
’ミサオノキ’
’アオモジ’
’ピンポン’・・・ってなんだ??
’イッペー’
’ヒトツバ’
’????’ わからない・・・・なんだこれは?

一見はヤマモモ
観光も! 千尋(センピロ)の滝
’ガジュマル園’
石のある屋根。 なんの為だろう??


こうして屋久島をぐるりと一周した。 いや、すごいね。屋久島。 見るものすべてが新鮮でした。
翌日には、九州熊本に入り、熊本での植木生産を見学。 そのまま熊本に宿泊し、三重に帰ったのは、翌日21日。 
一週間ちょっとの旅だったなぁ。 楽しかったけど、ちょっと疲れたよ。 (+o+)


最後に縄文杉に出会うまでを動画にまとめました。縄文杉に行った気になってください。
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