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 山の中のアセビ

 ■ アセビ診断・・・・でもその前に。

この話をする前にすこし 事前に書いておこうと思う。 それは今回は失敗談であること。
なんとまぁ クライアントと ど喧嘩になり・・・・すこし反省している。
もちろん相手の気持ちがわからないでもない。 しかし あまりに・・・人の言う事を聞かない。
失敗は失敗で反省はするが それはそれで勉強にはなる。あくまで 経験です。
そういう考えかたから掲載自分のためにも掲載することにしました。


 ■ 事前の打ち合わせ。
今回の依頼は個人様よりメールでの依頼だった。 住所を聞いて案外すぐ近くである事をしる。
まぁそういう事ならと 話を伺うと アセビ樹が枯れかかっていて 
 『とにかく来て欲しい!』 という。
しかも かなり慌てているようす。 季節は4月と言うこともあり かなりこちらとしても忙しい季節だった。
そういうわけで 相手に 
『行けるとしても 今から行きますとか 明日行きます!とか多分 突然の連絡になりますよ』
と伝えたところ それでも良いと言う。 そういうわけで診断に出向いてきました。

 ■ 4月13日 
日曜日 急所 診断に行く事になった。  
実は 事前に聞いていた事がある。 それは 今回のアセビの衰弱の理由は 根元を草刈機械で傷つけた
事に理由するのでは? というものだった。 携帯撮影の物ではあるが 事前にその写真は見ていた。 しかし 
どうもその影響では無いと思われる。 原因はもっと他にある。 ・・・・ そう思えた。

何本かあるうちのアセビの一本の傷。 確かにすっぱりと切られている。 
しかし本当にこれが原因なのだろうか??

 ■ 調査
周囲の環境を調べた。 そして解った事は このアセビは元々は 山の中に存在し それを人間が そこへ居住
するために 周囲のコナラなどを伐採し アセビだけを残した というものだった。


写真奥は伐採が進む前の状態。 すこし写真が小さくてわかり難いが 落葉高木に覆われて その下にアセビが
広がっている。  それが周囲が伐採され 家が建てられた為 一気にアセビが 太陽の元にさらされる結果となった。

 3枚の写真を掲載してみたが ・・ お分かりだろうか? アセビが一気に露出している。  

 ■ 急激な環境の変化
一番の問題のアセビ。
一番大きく一番のお気に入り。
枯れ方も一番ひどい。
今回の衰退の 一番の要因は アセビの生活する空間の急激な環境の変化ではなかろうか? 
・・・・と言うか それに違いない。 植物は生活していくうえで 急な変化には対応は出来ない
ものなのです。


 ■ 激しい口論
クライアントに その理由を伝えた。 しかし 『それは違う! この傷のせいだ!』 と言い張る。
何度も解りやすく説明をした・・・ しかし一向にまともに話を聞こうとしない。 そして最終的に・・・・

『そんなに俺の言う事を信じないなら 帰ってくれよ。 樹木医だかなんだか知らないが 俺はあんたに 来てくれと頼んだ覚えは無いぞ!』

実は今回の依頼主は このアセビを大切にしているご主人の 奥様だった。 そして ご主人の問題にしている
根元の傷は奥さんの実父が 草刈の際につけたものだと判明。 
『そういう事か・・・・・』  ご主人の台詞の中に 『頼んでも無いのに草刈なんか 余計な事 しやがって!』 
とあったのだが そういう事だったのか。

最後に私はこう怒鳴ってしまった。

『このアセビをこんな目に会わせたのは ご主人 あんただよ。 あんたが樹の事も考えず 
こんなところに家を建て こんなに伐採したからだ。 自分が悪いのに 他人の責任してんじゃないよ!』

最終最後はご主人もわかってくれたようでした。 どんな理由があるにせよ クライアントに怒鳴ってしまった事は
常識の無い事なので 一言 怒鳴り散らした事を 謝った。

現場去り際に 奥様が私にお礼を言っていた。 やけにうれしそうだった事が印象的でした。



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