タイトルイメージ 本文へジャンプ
 事故の相手 ツバメ君との6日間

 ■ 6月30日  ツバメとの出会い
今回は樹木医ネタとはかけ離れて自分の単なるブログです。
6月30日 葬儀の帰り道 少しばかり時間に余裕がなく 結構なスピードで田舎の広い農道を飛ばしていた。
周りは見渡す限り田んぼばかりで 視界は開けている。 そのときに左側面から 飛来する1羽のツバメが見えた。
・・・次の瞬間 私の運転する車のフロントガラスに ’ドン’。 バックミラー越しに 墜落する姿が見えた。

『え? 跳ねちゃった!? えらい事やっちゃった。』

車を止め 草むらを探す。 確かこの辺だったような・・・・ 居ました。 痙攣し もがく姿の1羽のツバメが・・・
胸元の毛色と黄色の残るくちばしから 巣立って間もない事がわかる。

『どうしよう・・・?』   一瞬はためらった物の 見過ごす事はできず とりあえず家に連れて帰る事にしました。

(※この行為が違法である事は認識しています。落ちてるヒナなら拾いません。)

家に到着する頃には 痙攣は治まって居たようですが 目をふさぎ 口をパクパク させて横たわっています。

『もう無理かなぁ・・・』 そうは思ったが スポイトで口元に水を与えてあげた。 
そうやってしばらく様子を見る事にしました。
そして数時間が過ぎた頃 なんと目を開けたではありませんか! 
戻って来たかな!? うれしくて 餌を与える。 餌はペットショップに売っているミルワームを とりあえずあげました。
(実は以前にスズメを飼育した経験があり 小鳥は数時間おきに餌を与える必要がある事は理解していました)
もちろん 数時間前まで野生だったツバメが人間から餌を貰って食べるはずなどありません。

『ちょっと今から嫌な事するからなぁ・・・』 と声をかけながら むんずとツバメをつかみ くちばしを無理にこじ開け
ピンセットで餌を突っ込みます。 このとき 人間なら オエッ って感じるようにのどの奥、まで突っ込んでやる
事がコツです。 小鳥さんは 喉の奥に触れる事によって食欲を感じるようです。
また温度管理が大切です。 鳥の体温は高いので 部屋を暖める必要があります。
そこで トイレにヒーターを置き 室温を38度位に設定し 最初の夜はそこで寝てもらいました。

夜中にトイレに起きたらら・・・・ 暑い・・・人間には室温高すぎですね。 ちょっとばかり我慢の用足しでした。


 ■ 7月1日 朝になったら 立てるようになっていた!
朝 心配で様子を見に行くと なんと自力で立ち上がっているではありませんか!
しかしその様子は 不自然で痙攣が残り とても飛べるような状態ではありませんでした。

『こりゃ 放鳥は無理かも。ぶつかったショックで 神経でもやられたか。一生面倒を見る必要があるかなぁ・・・』

この日も2時間おきに 『嫌な事するからなぁ』 と声をかけながら 口を開いて餌をあげました。

 ■ 7月2日 東京出張
仕事の都合で東京へ泊で行かなければならない。 ツバメはどうしようか? 2時間おきに餌を与えないと
衰弱してしまう。 しかもこの子は昨日まで野生だったので 人間からの餌は素直には受け入れてくれない。
そんな状況では 他人に預ける事は さすがに頼めず 悩んだが 東京まで連れて行く事にしました。



出張先のホテルにて撮影。
この子が事故の相手です。(笑)
浴衣の上で寝てます。 
まだまだ飛べません。 (^_^;)

名前は付けていません。 下手につけると
放鳥するときに 妙に悲しくなるでしょうから。
 ■ 7月3日 まだまだ 東京出張中
びっくりする事 いや嬉しい事が起こった。 なんと飛んだのです! もちろん 少しだけですが。
今回の出張は車だったので 車内では放し飼いにしていたのです。 
しかし・・・まぁ・・・ 飛んだのはうれしいけど 車内は フンだらけ・・・・ 
そしてさらに うれしい事に 口をこじ開けなくでも 自分から餌を食べるようになった。 これでかなり楽になりました。(喜)

しかし・・暑かったなぁ・・・なんだって 車内の窓を閉めて エアコンをかけないのだから・・・・
ツバメの為だからしょうがないのだけど・・・ サウナ状態なり。
 ミルワームをついばむ ツバメ君

 ■ 7月4日 飛行訓練
三重に戻り 会社事務所内にて 飛行訓練の開始です。 ツバメは飛びながら餌を取るので 上手く飛べないと
餌にありつけません。 つまり飛べる事は非常に重要な事です。
また餌もミルワームから その辺で取れる天然のムシを混ぜます。 団子ムシや ハエや蜂まで。
捕まえるのは 大変でした。(^_^;)  全部切り替えたわけじゃ ないけど・・・・。

 部屋の中で飛行訓練。
 まぁ事務所内はあちこちフンだらけ・・・

 フンをされちゃ嫌の部分だけ新聞紙をひいた。
 パソコンのモニターとかキーボードとか。
 一番のお気に入り場所。
 この頃には痙攣も無くなっていた。
 放鳥できると確信したときでもあった。
すっかりと元気になった! 事務所の中を飛び回っている。 
次は餌を自分で食べる訓練です。 まぁ これはこれだけ飛べれば大丈夫でしょうが。


一日に結構食べますよ。
そして この日に決意しました。 

  『明日 自然に帰してあげよう。』

しかし野鳥を飼ったう経験のある人なら解るだろうが この子が これから本当に自分だけで餌をとって
 生きていけるのだろうか? 明日には餓死するんじゃないか!? 
そういう不安が どうしても放鳥を決意する事を邪魔し・・・・ とにかく人の話を聞こう!
そう思ってペットショップに行ってみた。 それで尋ねた所・・・・ 対応してくださった女性店員さんは
『私はあまり詳しくないので 詳しい人に電話で聞いてみます』 と気持ちの良い対応。 ありがとう。
で 回答は・・・・
『放鳥するなら今の状態なら早いほうがいいでしょう。これ以上 人間に慣れちゃったら より自然に帰る事が難しくなります。』 
という事だった。
まぁ ごもっともな回答だが 専門家がそうやって言ってくれるので 明日の放鳥を決意しました。

 ■ 7月5日 お別れ。
お別れの時間になりました。 あの事故から6日目。 あの時はこんな元気になるとは正直思ってませんでした。
もう駄目だと思いました。 しかし この子はこんなに元気になっている。 うれしい。 ・・・・けど 寂しい。
最後のお食事タイムです。
本当は放したくない気分です。
しかし それは駄目。

本来 野鳥の飼育は違反なのです。
野鳥は保護すべき物じゃないのです。

しかし今回は事故だったので
あのまま見過ごす事はできず・・・


元気になったので良かったと言うことで。
 放鳥する場所は 専門家は 『得にどこでも良い』 という回答だったが やはり出会った場所。
 つまりは事故現場へ連れて行った。 ひょっとしたら 親、兄弟が近くに居るかもしれない。 単純にそう思ったから。
ほら・・・
もう飛ぶのに邪魔な柵はないよ。
周りは 自然の餌で一杯だよ。

僕の指にしばらくの間 とまってました。
どれくらいが過ぎたでしょうか・・・
僕の方をチラッと 振り返ったように見えました。
そして次の瞬間・・・・・


天空へ舞う 一羽のツバメ。
もう事故になんか逢うんじゃないよ。 さよなら。


 ■ 7月6日 どうしても・・・・
どうしても気になって 放鳥場所へ。 そこには数羽のツバメが気持ちよさそうに飛んでいた。 この中に
キット 昨日のツバメも居るのだろう。 そう願っているし そう思いたい。




戻る // 植木相談 // 一般 // HOME