■ お寺さんから 診断の依頼。 |
12月5日の事 携帯電話がなった。 相手はお寺の住職で境内の樹齢260年もの松の
調子が悪いので診て欲しい・・・と言う無いようだった。
実は この電話を受けた時 ’日本松保護士会総会’ の開催中で そのタイミングで この依頼を受けた・・・
良く考えてくださいね! 松保護士がその総会の途中に松の診断を受けるなんで ものすごいタイミングだと
思いませんか?? (^_^)/~ 三重に戻ってから (開催地:栃木県) 早速現地へ出向いてみた。 |
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■ なるほど立派な松です。 |
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南からの撮影。
確かに全体的に葉が 赤茶けている。
この時点では なんとも判断できない。 |
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■ まずは外観の診断です。 |
おっとその前に 一番大事なのは ヒヤリングです。 住職に いつ頃から 変化に気がついたか? これまでの管理方法は? など 細かい詳細を尋ねた。 色々な事がわかった。
それらを考慮して まずは葉の見た目からの診断です。 |
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さて 色々と葉の写真を掲載してみたが はっきりって これだけでは ’マツ材線虫病’ともなんとも判断も出来ない。
実は10月に 剪定作業を行ったようで 古葉が もみあげ剪定されていた・・・・これでは 葉の状態から判断する
イチョウ病の特徴が出ない。 つまり マツ材線虫病かどうか 判断しにくい。
されに・・・・・・
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樹幹注入までされている。 この薬剤が ちゃんと効いていたとすると マツ材線虫病 では無いという事になる。
されに調査をすすめる。 |
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根の状態を調べる。 |
歩道造成事の根への影響の可能性も
考えて調査する。
しかし 平成12年という事を考慮すれば
今回の急変とは 因果関係があるとは
考え難い。
また 根元付近の土壌に 踏圧等の 害は
見られなかった。
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■ 材の採取。 害虫等の有無の徹底調査。 |
葉の変色に気がつき2ヶ月チョットが経過していた。 枝をからしてしまう 害虫も居るので それらの食害跡が無いか良く 調べてみた。 また怪しい部分は 材を採取して 持ち帰り
調べる事にした。
採取場所: 枝枯れの起っている 枝 2箇所
南方向ー西方向 の根 2箇所 ・・・・・ 以上の4点を採取した。
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■ 事務所にて 顕微鏡を使った調査 |
枝をじっくり見るも ’マツモグリカイガラムシ’等の 加害跡は発見する事はできなかった。
そこで 一番の疑い ’マツノザイセンチュウ’を分離してみる事とした。
すると・・・・・
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♂の特徴:交接刺 |
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♀の特徴:陰門 |
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こんなセンチュウが検出されてしまった。 これだけで 十分判断できるが 今回の案件は
『樹齢260年のお寺境内の松』 という事もあり 念のため 専門機関へ同定依頼を お願いした。
まぁ ・・・ 結果はいうまでも無いが。
ちなみに 今回の検出、 枝1からは全く検出されず、 枝2からは わずか1匹。 しかし 根からは大量に出ました。
これは 樹幹注入の影響が大きい物と思われる。
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■ 檀家さんに集まってもらい 現状を説明。 |
調査から 1週間後 檀家さんに集まってもらい 現状の説明会をおこなった。
見た目にはまだ 緑色をした部位もあるのだが・・・・ 樹液の流動は完全に停止していて このまま枯れて行く事を
だまって見守るしかない 事を説明。
松の為にも 暖かくなる前に 伐採することを 勧めた。 材を何かに 利用するほうが まだマシだと。
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■ 実は調査前に 気がついていた事。 |
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これは そのお寺付近の アカマツの写真です。 見た目に ’マツ材線虫病'と判ってしまいます。
実は お寺の調査を行う前に その付近の調査も行っていた。
そして 実際に松にご対面し、 ヒヤリングにて過去の 管理方法や 樹幹注入などの経緯を 聞いた時に
『9割の確率で マツ材線虫病だな。』 と内心 確信していた。
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来年 伐採が行われる予定になったが その時は 立ち会うつもりでいる。
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