桜の記念樹。 復活すれば名医。 枯らせば迷医。 
 ■ ある老人施設にて。
ある施設から電話がかかってきた。  『桜の調子が悪いので診て頂けないでしょうか?』
電話で簡単に状況を聞くと、桜の苗木が4本で、そのうちの2本がおかしいと言う。 口頭で話を聞いた時点では
’幼果菌核病’ かな? と思った。  葉が縮れたようになっていると言うので。

 ■ 現場視察
5月24日、とにかく現地を診せて頂くことにした。 ・・・で、最初にみて 『これは違う。』
そう思った。 病害ではない。 根の障害の影響によるものだと判断した。
問題.1 問題.2
自らが葉をリストラしている。   


 ■ 翌日、すぐに治療へ。
この場合、治療と言う言葉を使ってよいのかどうか、考え物だが、あくまで樹勢回復目的なので、OKだろう。
と言うのも、にらんだとおり植え方に問題があったのだ。
 植栽基盤は固い粘土層。
 そこへ深植え。
 更にご丁寧に根の回りだけ、どこぞのバークか?
 有機質がふんだんに投入されている。
 これでは、水溜りに植栽しているのと同じ。
 問題のバーク。
 改善する為に土壌を改良
 根を痛めないように注意を払い、植栽のやり直し。
 今のところ元気な2本(4本中の2本)も
 植え替えを実施した。
作業をしていたら、何やら看板を立て始めた。 ・・・え?
記念樹とは聞いていたが、看板を立てるほどとは・・・・

こりゃ、枯らすわけには行かないなぁ・・・。

元気になれば、名医。
枯らせば、迷医・・・ってか。


 ■ たびたび訪問。
 6月5日
 問題1の桜の様子。
 同じく、問題2の桜の様子。
多少の芽吹きが見られる。 現時点では安定。
 ■ そして一ヶ月後。
問題 1

下方より、再生を始めている。
問題 2

すこし不安は残るが、新しい芽を展開させている。
 
 そして夏の終わり。
  ⇒  
9月現在、左の写真が右のようになっている。 根が上手く再生したようです。 もし、治療が無ければ、枯れていたでしょう。
5月の時点で元気だった2本も同じ治療が施してあるが、しなかったら今頃衰弱していたでしょう。 やらなかったら・・・・水掛論ですが。
樹形は変わってしまったものの、とりあえず枯れていないのでお客様には感謝された。 
あ! もちろん樹形が変わることは治療行為以前に説明済みです。
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